【書評・要約】予想どおりに不合理まとめ〜行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」〜

予想どおりに不合理

読書大好きゆーぽん(@jiyucho33)です!

今回は行動経済学の入門書「予想どおりに不合理」を紹介します!

行動経済学とは「人間の心理的、感情的側面の現実に即した分析を行う経済学」です。

例えば、

  • 冷静に考えればAという商品が良いにもかかわらず、直感や感覚的にBを選ぶ。
  • 送料無料につられて余計な物まで購入する。
  • 値段が安い薬より、高い薬の方がよく効くように感じる。

みなさんもこういった経験があると思います。

この「予想どおりに不合理」は、初めて行動経済学を学びたい人にピッタリの本です!

僕は元々、マーケティングに興味があり、様々な経営者とお話をする上で「読んだ方がいいよ!」とおすすめされて購入しました。

様々な事例と、“なぜそれを買ってしまうのか?選んでしまうのか?”という解説があり、読み物としてもとても面白かったです!

特に売上を増やしたい経営者や個人事業主など、何かしら商売をしている人におすすめです。

▽予想どおりに不合理

予想どおりに不合理の評判

予想どおりに不合理の紹介文

大竹文雄教授(大阪大学)推薦!
「行動経済学の一番の魅力は、それを学ぶことで、私たちの日々の生活を改善でき、仕事に応用できることである」(巻末解説より)

行動経済学ブームに火をつけたベストセラー!

「現金は盗まないが鉛筆なら平気で失敬する」「頼まれごとならがんばるが安い報酬ではやる気が失せる」「同じプラセボ薬でも高額なほうが効く」――。
人間は、どこまでも滑稽で「不合理」。でも、そんな人間の行動を「予想」することができれば、長続きしなかったダイエットに成功するかもしれないし、次なる大ヒット商品を生み出せるかもしれない!
行動経済学ブームに火をつけたベストセラーの文庫化。
(Amazonより)

予想どおりに不合理

予想どおりに不合理はこんな人におすすめ

  • 経営者、起業予定者
  • 営業、サラリーマン
  • 店長
  • 個人事業主、フリーランス
  • マーケッター
  • 行動経済学を学びたい人

予想どおりに不合理のポイント

  1. 人に何かを欲しがらせるには、それが簡単には手に入らないようにする。
  2. お客を集めたければ何かを無料にする。商品をもっと売りたければ買い物の一部を無料にする。
  3. 善意で動いている人に報酬を渡すとやる気が下がる。

日々の決断に影響をおよぼしている正体とは?

ダイエットするぞと心に誓ったはずなのに、デザートを乗せたカートが近づいてくると決意がどこかへ行ってしまうのは何故だろう?

別に必要なものでもなかったのに、気づいたら目の色を変えて買い漁っていたりするのはなぜだろう?

1セントのアスピリン(薬)を飲んでも治らなかったのに、50セントのアスピリンだと頭痛が嘘のように消えてしまうのはなんでだろう?

この本を通じて自分や周りの人たちを動かしているものが何なのかを根本から見つめ直す手助けをする。

私たちがいかに何度も同じ失敗を繰り返すかがわかるようになれば、どうすれば防げるかが見えてくる。

エコノミストの三択

ある日インターネットでエコノミスト誌のウェブサイトに次のページのような広告があった。

1. エコノミスト・ドットコム(ウェブ版)の購読…59USドル
2. エコノミスト・ドットコム(印刷版)の購読…125USドル
3. 印刷版およびウェブ版のセット購読…125USドル

3つめは印刷版とウェブ版の年間購読が125ドルと書いてある。

印刷版とウェブ版の両方を購読するのが同じ値段なら、だれが印刷版だけにしておこうと思うだろう。

2の「エコノミスト・ドットコム(印刷版)の購読…125USドル」は“おとり選択肢”である。

2の選択肢がない1と3のみで実験した場合、1の選択肢が多くなり売上が落ちた。

ウェブ版と印刷版のどちらを選ぶかは少し考えないと決められない。考えるのは厄介だし、面倒な時もある。

そこでマーケティング担当者は私たちが悩まなくて済むようにしてくれた。

印刷版だけの購読と比べた途端、印刷版とウェブ版のセット購読は明らかに勝って見える。

黒真珠を高級にした男

タヒチの黒真珠は販路が全くなく、需要もほとんどなかったが、ブルイエでは一緒に事業を始めようとアーセルを説得した。

2人は手を組み、黒真珠をとって世界中に売りさばくことになった。

当初、アーセルの売り込みはうまくいかなかった。当時の黒真珠は色も形も鉄砲の弾のようで、アーセルは1つの注文も取れないままポリネシアに戻らなければならなかった。

1年辛抱してもっと品質の高い真珠ができるのを待った。そして、それを持って旧友である伝説の宝石商を訪ねた。

ニューヨークの5番街にある店舗のショーウィンドウに黒真珠を飾って法外に高い値段をつけることを承知した。

一方で、アーセルは豪華なグラビア雑誌に全面広告を出した。

タヒチ産の黒真珠のネックレスがダイヤモンドと一緒に堂々と光り輝いている写真だ。

ほんの少し前までポリネシアの海中でひっそりと育っていた真珠が、あっという間に裕福なセレブたちの首に下げられてマンハッタンを闊歩するようになった。

アーセルは価値のはっきりしなかったものをとんでもない高級品に変えてしまった。

人に何かを欲しがらせるには、それが簡単には手に入らないようにすればいい。

数十年前、動物学者のローレンツが卵から帰ったばかりのガン(鳥)のひなが初めて遭遇する動く物体(ふつうは母鳥)に愛着を持つことを発見した。

ローレンツは身を持ってガンのひながまわりの手近なものをもとに最初の決断をすること、さらにいちど決めた事は貫き通すことを示した。

ローレンツがこの自然現象を「刷り込み」と呼んだ。

刷り込みは私たちの生活にどんなふうに現れるのだろう。

例えば新製品に遭遇すると目の前にある最初の価格をすんなり受け入れてしまう。

例えばアーセルは滑り出しから黒真珠を世界最高級の宝石として「アンカリング」(係留)したおかげで、以降ずっと黒真珠にはその価格がついて回ることになった。

これと同じで私たちは新製品をある価格で買うとその価格にアンカリングされる。

無料が起こす不合理さ

実際に無料が行動にどう影響するかを示す話を紹介しよう。

数年前、Amazonは一定額以上の注文をすると無料配送になるサービスを始めた。

例えば16ドル95セントの本を1冊買うと、3ドル95セントの配送料がかかる。ところがもう一つ本を買って合計が31ドル90セントだと配送料が無料になる。

人によっては2冊目は別に欲しい本ではないのに無料配送があまりに魅力的で、これを得たいがために追加の本の代金を払うのをいとわない。

Amazonはこのサービスを始めたことにとても満足したが、ただ1カ所、フランスだけは売り上げが全く伸びなかった。

フランスは一定額以上の注文で配送料無料にするのではなく、1フランにしたのだった。

たった1フラン(20円程度)が無料と大して違わないように思えるが、これが大違いだった。

現に、Amazonがフランスでの販売促進に無料配送を加えたところ、他の国と同じように売り上げが劇的に伸びた。

つまり配送料1フラン(これでも破格の値段)はフランス人にはほとんど無視されたが、無料配送は熱狂的な反響を呼んだわけだ。

あなたは20円の手数料のままで(フランスのAmazonの配送料のように)現状を維持することもできるし、何かを無料で提供して人々の殺到を起こすこともできる。

なんと強力な概念だろう。

値段ゼロは単なる値引きではない。ゼロは全く別の価格だ。

2セントと1セントの違いは小さいが、1セントとゼロの違いは莫大だ。

もしあなたが商売をしていて、この点を理解しているなら大したことができる。

お客を大勢集めたい?何かを無料にしよう!

商品をもっと売りたい?買い物の1部を無料にしよう!

お金が絡まないほうが熱心?

数年前、私はジェームズ(大学の准教授)とともに、「社会規範」と「市場規範」の効果を研究することにした。

この実験ではコンピューターの画面の左側に円が表示され、右側に四角が表示される。マウスを使って円を四角までドラッグする課題だ。

実験協力者の一部はこの短い実験に参加して5ドルを受け取った。

2番目のグループでも基本的には同じだが報酬ははるかに少なくした。

3番目のグループには、社会的な頼み事として課題を提示した。何も具体的な見返りを渡さず、お金の話もしなかった。

それぞれのグループがどれだけ熱心に課題をこなしただろう。

5ドルを受け取った人たちは平均159個の円をドラッグし、50セント受け取った人たちは平均101個の円をドラッグした。

予想通り、金額が高いほど実験協力者のやる気が高まり、より熱心に取り組んだわけだ。

それではお金の絡まない条件ではどうなのか?

3番目のグループの人たちは平均168個の円をドラッグした。50セント受け取った人たちよりはるかに多く、5ドル受け取った人たちよりわずかに多い。

つまり、実験協力者達はお金のためより、お金の絡まない「社会規範」のもとで熱心に働いたと言える。

先程の実験で50セントを受け取った人は当然、「これは良い。研究者の手助けもできるし、おまけにお金も稼げる」とは考えなかっただろうし、そう考えて報酬なしの人たちより熱心に働くこともなかったはずだ。

「市場規範」に気持ちを切り替えて、50セントは少なすぎると判断し、気乗りしないまま作業したのだろう。

つまり、「市場規範」が実験室に入り込んで、「社会規範」が押し出されたわけだ。

選択の自由の難しさ

現代の世の中においても、私たちはすべての選択の自由を残しておくために同じように必死になる。

コンピューターにハイテクのオプション機能があれこれ必要になったときのために、増設可能な機種を買っておく。

プラズマの高品位テレビの大画面が映らなくなったときのために、有償の保証サービスを申し込む。

子供が何に興味を持ってもいいように、体操でもピアノでもフランス語でもテコンドーでもとにかく思いつく限りの習い事をさせる。

いずれの場合も、必ずしも意識しているとは限らないが、私たちはこうした選択肢を残すために他の何かを手放している。

例えば必要以上に高性能のコンピューターや、無駄な保障の付いたテレビを大金はたいて買うはめになる。

子供の習い事の場合、子供に様々な活動を少しずつでも経験させようとするあまり、子供と自分の時間を手放している。

私たちは“重要かもしれない事”の間を行ったり来たりしているうちに、本当に重要なことに十分時間を割くことを忘れてしまう。

雰囲気が高級なら味も高級に感じる

私たちは教授とともに、“にわかづくり”のコーヒーショップを開いた。

コーヒーについてアンケートに答えてくれる学生に、無料でコーヒーをいっぱい提供する店だ。

コーヒーに加えるもの、ミルクとクリーム、白砂糖などが置いてあるテーブルを教えた。

このテーブルにはあまり一般的でない香辛料、クローブ、ナツメグ、オレンジピールなどを用意して、好みのものをコーヒーに入れられるようにした。

実験協力者がコーヒーに好きなものを加えて味わったあと、アンケート用紙に記入してもらった。

このコーヒーはどれくらい気に入ったか、このコーヒーに最大いくらなら払ってもいいかと言う質問に答えてもらった。

それから何日かコーヒーを配り続けたが、香味料を入れておく容器を時々取り替えた。

あるときは美しいガラスと金属の容器に入れて、きれいに印刷したラベルを貼り、小さな銀スプーンと一緒につや消し加工の金属トレイに乗せた。

結果はどうなっただろう。

興味深いのは、変わった香味料をしゃれた容器に入れて出したときのコーヒー好きたちの回答だ。

コーヒーがとても気に入った、けっこうな金額を払っても良いと言う意見がはるかに多くなっていた。

つまりコーヒーの雰囲気が高級そうだと、コーヒーの味も高級に感じると言うことだ。

見せ方の効果を侮ってはいけない。

料理学校で料理を芸術的に盛り付ける方法を学ぶことが、焼いたり揚げたりする方法を学ぶことと同じくらい重視されているのにはわけがある。

テイクアウトで買った料理も、発砲スチロールの容器から出して立派なお皿に盛り付け、飾りをあしらってみると良い。

特に来客があるとき、これだけで料理が全く別物になる。

高価な薬と安価な薬

安い痛み止めは高い痛み止めより効果がないのだろうか。

冬に風邪をひいて特売の風邪薬を飲んでも、高い風邪薬を飲んだ時、ほぼ治った気がしないものだろうか。

ジェネリック医薬品は最新の有名ブランドの薬ほどあなたの喘息に効かないだろうか。

はたして値段の高さは品質の高さを意味すると考えているのだろうか。

考えてみれば安い中国料理や、値の張らないジーンズですます事は可能だ。

少し自制心を働かせれば、たいていは極端に高価なブランド物から目を遠ざけておくことができる。

しかし、自分の健康の事となると、本当に安物を求める気になるだろうか。

ごく普通の風邪の話は脇で置いておくとして、自分の命がかかっているときに、けちけちと小金を惜しむだろうか。

いやそれはない。私たちは自分のため、子供のため、愛する人のために最高のものを求める。

その他、役立つポイント

  • なぜ何も払わないのに払いすぎになるのか
  • なぜ楽しみでやっていたことが、報酬をもらったとたん楽しくなくなるのか
  • 性的興奮の影響
  • 先延ばしの問題と自制心
  • なぜ自分の持っているものを過大評価するのか
  • なぜ心は予測したとおりのものを手に入れるのか
  • なぜ私達はマーケティング担当者の話を信じないのか
  • なぜ現金を扱うときの方が正直になるのか

予想どおりに不合理のまとめ

  • 「おとり選択肢」を準備することで、売上を増やすことができる。

  • 人に何かを欲しがらせるには、それが簡単には手に入らないようにすればいい。

  • 最初の価格を「アンカリング」することで価値を高める。

  • お客を集めたければ何かを無料にする。商品をもっと売りたければ買い物の一部を無料にする。

  • 善意で動いている人に報酬を渡すとやる気が下がる。

  • 雰囲気が高級なら味も高級に感じる。

▽予想どおりに不合理

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